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「ザ・ウェーブ」ロス先生の歴史の授業から


「ザ・ウェーブ」モートン・ルー著 小柴一訳 
「The Wave」Morton Rhue, Dell Publishing, 1981


ロス先生 この物語は、1969年、アメリカのパロアルト州で実際に起こった事件をもとにして書かれた小説である。
 高校の歴史を教えているロス先生は、授業でアウシュビッツの強制収容所のドキュメンタリー映画を見せた。生徒達は口々にこんなことがどうして起こるのか信じられないと疑問を口にした。
 そこでロス先生はある実験授業を試みる。その実験授業は、まず歴史の授業を作りかえることからはじまった。ロス先生が提示したモットーは3つあった。
 まず第一に「規律をとおして力を」授業を規律あるものとするために、姿勢を正し、質問や答えを発言するときには、机の脇にまっすぐに立ち、「ロス先生」と呼ばせることから始めた。生徒はこれによって予習をしてくるようになり、授業への参加度も高まってきた。
 第2に「共同体をとおして力を」。共同体で目標を定め、その目標を達成するために個人を犠牲にして目標のために献身することを生徒達に求めた。
 第3に「行動を通して力を」彼はこの運動を「ザ・ウェーブ」と命名し、旗印を定め、運動員同士に敬礼することを求めた。さらに運動員証を発行し、運動員は運動員を増やす目標達成に献身しいるかどうか、規律に違反していないかどうかを相互に監視する制度を作る。
 そしてこの運動はやがて、クラスを越えて全校に広がっていくが、やがてこの運動への参加を拒否する少数派への嫌がらせと暴力をつくりだす。知らず知らずのうちにファシズム的な状況を作り出していくのである。

 個人の自由と尊厳を標榜するアメリカンデモクラシーの中でさえも、いかにたやすくファシズム的状況を作り出し、集団の暴力を生み出していくのか、この実験授業はそれを証明しているのである。
 こんな実験授業をやってしまうアメリカの教育のすごさと恐ろしさをつぶさにみてしまった感じである。

 この結末は、実際に小説を読んでいただくとして、この小説の主人公はローリーという新聞部の生徒であった。彼女ははじめはこの運動を評価するのだが、やがてどこかがおかしいと批判する記事を新聞に書き、嫌がらせを受けることになる。

 私はこの小説を抜粋したプリントを作り、高3の「倫理」の授業で生徒達と事態を予想しながら読むことをした。その授業のテーマは「アウシュビッツと現代」である。
 授業の流れとして、この新聞部の生徒のような働きをナチスの支配下のドイツで行った若者たちがいたことを続いて紹介する。「白バラ通信」の若者である。
 最近またこの「白バラ抵抗運動」の映画が作られて、上映されている。
 これについての紹介はまた改めてすることにしよう。

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