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「アウシュビッツと現代」

「アウシュビッツと現代」という高3「倫理」の授業から
 しばらく高3は担当していないが、私が高3の「倫理」を担当したときの授業の流れを紹介してみよう。テーマは「アウシュビッツと現代」。

 第1回 ドキュメンタリー映画「夜と霧」(アラン・レネ監督作品)を見る。解放直後のアウシュビッツをたんたんと記録したドキュメンタリーフィルムである。この映画を見て気分を悪くして保健室にいく生徒が何人かいるくらいの凄惨な場面もある。このような事件が起こった歴史的背景を簡単に紹介する。

 第2回 「夜と霧」(ビクトル・フランクル著 霜山徳治訳 みすず書房刊)を読む。この本は現実の凄惨さ、原文のドイツ語の読みにくさ、翻訳の読みにくさという「三重苦」を背負った本であるが、その読みにくさを乗り越えて読んでいくと、そこにあるダイヤモンドのきらめきのような人間の尊厳を読みとることができる本である。ひとりで読むと挫折する本であるが、授業で優しくかみ砕きながら読んでいくことにしている。最近新しい訳が出てずいぶん読みやすくなったと言われているが、この所はむしろ読みにくい翻訳の方がありがたみがあるような気がする。

 第3回 「ザ・ウェーブ」を読む これは前に紹介した。アメリカ高校生がアウシュビッツのドキュメンタリーフィルムを見ての授業を扱った小説である。

 第4回 「白バラ抵抗運動」の若者たち。 ドイツの反ナチスの抵抗運動を行った若者たちを紹介し、「白バラ通信」を読む。カトリックの信仰をもった家庭に育ち、ヒトラーユーゲントの中で育った彼らがいかにして目覚めて行動に立ち上がっていくのかを読みとる。

 第5回 「抵抗した人びと」スウェーデンの外交官ワレンバーグや杉原千畝、灯台社の明石順三などを紹介する。

 第6回 「ファシズムはどうして生まれたのか」アドルノの「権威主義的性格」や日本の「大政翼賛運動」などを紹介し、現代にもファシズムが生まれやすい状況であることを説明する。

 第7回 「荒野の40年」(ヴァイツゼッカー演説から)を読む。「過去に目を閉ざすものは現在に盲目となる」「心に刻む」ということを読みとる。

 これは8年ほど前に行った授業の流れであって、今行うならば少し変える必要を感じてはいるが、なかなかよくできている授業の流れではないかと自負している。
 高校3年生には難しいのかもしれないとは思う。特にフランクルの「夜と霧」は大学生の読むものかもしれないと思いながらも、この本の価値をぜひ知ってほしくて、高校3年生の授業であえて取り上げている。
 本当は、もっと日本のファシズムに迫る必要を感じるのだが、「夜と霧」のような教材が見つからないのが残念である。

 このテーマを扱うと、どうしても戦争の悲惨さや軍国主義のひどさみたいなものを告発するだけのものになりやすい。そこはもちろん伝える必要があるのだが、それ以上にこういう状況の中でもこんな生き方をした人がいたという「人間の尊厳」を伝えたいと思うのである。

共通テーマ:学校

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